代官山の変化について考えるワークショップ 2020.02.29

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2020年2月29日(土)に、代官山ステキなまちづくり協議会が主催する「代官山の変化について考えるワークショップ」が開催されました。
このワークショップは2019年の夏から不定期に開催されてきたワークショップですが、通算で4回目の開催になります。

ワークショップ開催の背景


代官山では、同潤会渋谷アパートメントの建替えが渋谷区で最初の市街地再開発事業として遂行され、分譲マンションを主体とする代官山アドレスが好調な売れ行きのもと完成したことにより、それまでは大型の開発の成功可能性は低いと考えられてきた地域でしたが、一転して開発ポテンシャルが高くなったと評価されるようになりました。そのため、昭和初期から存在してきた大きな敷地の屋敷跡地などで大規模開発がおこなわれる可能性が高まり、渋谷区認定まちづくり協議会第一号である代官山ステキなまちづくり協議会では、認定わがまちルールである「代官山ルール」の理念にもとづき、それらの開発が代官山のまちとしての価値を毀損することなく、長年に亘って培われてきた代官山エリアの良好な環境が維持・発展するように開発計画者と個別に協議をおこなってきました。

2010年から2011年にかけて旧山本達雄邸跡地が公営団地と外国人向け戸建て住宅団地になっていた場所にふたつの大型マンションが完成し、2011年の年末には旧徳川圀順邸及び旧郵政省職員団地の跡地に代官山T-SITEが完成したあたりで、懸念されていた大規模開発もほぼ終息したと考えられていましたが、2016年1月に旧奈良県職員寮跡地に分譲マンションであるTHE CONOE代官山が建設され、2019年には2000年頃までに建設された大型施設の敷地で新たなマンション開発が完成したり新たにスタートしたりすることになりました。

それと同時に、住人の高齢化あるいは死亡によって、戸建て住宅や自宅兼テナントビルが不動産開発会社に売却されたと考えられる場所の増加も顕著になってきました。また、空き家化している住宅も増加してきているようです。
このような現況の中、敷地の大小に関わりなく、不動産開発会社、建設会社、不動産ファンドなどの地域外企業による代官山への投資意欲は高まっていると考えられ、これらの事業体による建築行為によって代官山の環境変化が進行すると想定されることから、地域住民の立場から「代官山の変化」をどのように考え、どのように対処してゆくかについての意見交換を続けています。

ワークショップで上映したビデオ

今回のワークショップでは


この日のワークショップには、20歳代から80歳代までの幅広い年齢層の14名が参加しました。この参加者には代官山エリアの住人だけでなく代官山に関心がある外部地域の住人も含まれています。
代官山駅から閑静な住宅地まで、路地裏なども歩きながらゆっくりと1時間弱をかけてまち歩きをおこない、現在進行中のまちの景観変化を確認した後に、約1時間半かけて意見交換をおこないましたが、参加者には各自「20年後の代官山は□□□□□□□□□になっている。」という未来予想を書いていただき、それを手がかりに対話を進めました。

希望的観測を含めて「現在の価値(静けさ、おしゃれ)は変わらない。」という未来予想がある一方、「一層商業化、来街者が増加する。」といった繁華街化を予想する意見、「共同住宅だらけになる。」という不動産開発のさらなる加速化を予想する意見などが出されましたが、複数の人からは「表の顔と裏の顔(二面性)を持つまちになる。」という興味深い予想も提示されました。その一方で「顔(個性?)の無いまちになる。」と予想する人もいました。

これまで(2000年以前)の代官山は大きな商業的成功は期待できない、投資価値の低い地域だったために、事業効率よりもコンセプトを重視する事業者がゆったりとしたペースで立地してきたことによって、まちとしての魅力がバランス良く高まり、そのことによってブランド化が進展してきたと考えられます。しかしブランド化したことによって投資価値が高い場所になったために、ナショナルブランド化/広域展開しているような資本力があり事業効率(投資効率)を優先する事業体が進出してくることによって陳腐化が進み、築き上げられてきたブランド価値(地域としての独自性)が低下することが危惧されます。これは、近年問題視されるようになってきた「ジェントリフィケーション」の逆パターン(居住者階層の上位化ではなく、地域の構成員の陳腐化という意味で)の現象が顕在化してきたと見ることもできます。

代官山ステキなまちづくり協議会では、引き続きまちの変化を注視しながら地域環境の価値の維持・向上のためのワークショップを継続してゆくようです。

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