都心低空飛行問題(羽田空港の新飛行ルート)

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国土交通省は2019年10月29日に公式発表として「羽田空港は、2020年3月29日より新飛行経路の運用を開始し国際線を増便します。」と発表しました。
この決定により、来年の3月29日以降の南風の日には、現時点での決定では15:00~19:00の時間帯に、代官山の上空、約610メートル(2,000ft)の高さを1時間当り13回(4~5分に1回)の頻度で、羽田空港への着陸機が通過することになります。
https://www.mlit.go.jp/koku/haneda/lp/index.html

国土交通省の資料では、代官山上空を着陸機が通過する際の騒音は、約68~74dBと想定していますが、この音量は環境省が定めた主として住居の用に供される地域(B)の昼間の環境基準の基準値「55dB以下」を上回るものであり、従来の騒音規制法の解説による70dBの騒音の目安は「電話のベル」、「騒々しい街頭」の音量に匹敵すると云われています。

低空飛行ルート直下の地域には、騒音の問題以上に生活者の生命や財産を脅かす危険性として落下物の問題があります。
現代の着陸方法では高度2,000ft程度(代官山上空辺り)でギアダウン(降着装置/タイヤを降ろすこと)をおこなうことが一般的になっているようで、その際に部品や氷塊の落下が起こる可能性が高いと云われているようです。
http://www.mlit.go.jp/koku/haneda/international/pdf/20190807_05.pdf

国土交通省では羽田空港の新飛行経路の運用を開始する理由を『羽田空港のこれから』という資料を作成して説明しています。
https://www.mlit.go.jp/common/001088928.pdf

また、『東洋経済ONLINE』に東大名誉教授の伊藤元重氏を登場させ【記事広告】を掲載するなどしています。
https://toyokeizai.net/articles/-/209749

一方、2年前の2017年11月20日付の『東洋経済ONLINE』の記事では、都心上空の飛行に対する懸念を掲載しています。
https://toyokeizai.net/articles/-/197998

また、『AERAdot.』の2019年8月8日付の記事では、2019年7月に開催された、都心上空飛行反対を訴える市民団体が主催する「都心低空飛行問題シンポジウム」について報じるとともに、懸念される諸問題に言及しています。
https://dot.asahi.com/aera/2019080700012.html?page=1

2019年12月3日には、大井町きゅりあんにて第2回目の「都心低空飛行問題シンポジウム」が開催されました。航空評論家の杉江弘氏が登壇したほか、国会議員3名も登壇しましたが、会場には多数の品川区議会議員が来場していたのに対して、渋谷区からはひとりも区議会議員が来場していないという状況でした。
このシンポジウムでは、国土交通省がこの決定を推し進めることが出来た背景に、副都知事と副区長で構成されたこの問題に関する会議で、どの副区長からも強い抗議・反対意見が出なかったため地域住民の合意が得られたものとしているということが発表されました。
また、航空評論家の杉江氏からは、住民からの騒音に対する反感を抑えるために、全世界的に一般化している降下角度3°よりも急こう配の3.5°での降下を航空会社に要請することが、さらに都心上空飛行の危険性を高めることなどが発表されました。

また、国土交通省では新飛行ルートの実用に向けて「試験飛行」をおこなうことを公表していましたが、実際には「試験飛行」はおこなわず、通常運行する航空機を新ルートで飛行させることを以て「実機飛行確認」に呼称を改めるという発表をしました。このような詭弁を弄するような行為を避難する発言もありました。
http://www.mlit.go.jp/koku/haneda/news/2019102901.html

市民団体「羽田問題解決プロジェクト」では、今後も都心上空低空飛行の撤回を求める活動を続けてゆくとともに、連携活動団体では住民投票条例の制定や行政訴訟などの準備が進められていることが発表されました。「羽田問題解決プロジェクト」及び連携活動団体では、行動を共にする協力者・支援者をさらに募ってゆくようです。
https://haneda-project.jimdofree.com/
渋谷区では、行政訴訟を目指す市民団体「渋谷の空を守る会」が活動に参加する方を募集しているようです。
https://twitter.com/SWC97514522

一方、国土交通省では住民説明会を各所で開催してゆくようです。
2019年12月23日(月) 17:00~@地域交流センター恵比寿
2020年1月11日(土) 14:00~@渋谷ヒカリエ 8/court
2020年1月16日(木) 17:00~@恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンルーム
2020年1月19日(日) 14:00~@恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンルーム
https://haneda-project.jimdofree.com/%E5%9B%BD%E4%BA%A4%E7%9C%81%E6%83%85%E5%A0%B1/

この問題は端的に言えば、「国は新たな追加投資をほとんどすること無く、影響を受ける地域住民からの実質的な合意を事前に得ることも無く、新飛行ルート直下の生活者の安全や安心、平穏な生活を犠牲にして経済効果を高めるための決定を一方的にした。」ということに尽きるように思われます。
国土交通省では以下の資料で新飛行ルート採用による経済効果の試算を発表しています。
https://www.mlit.go.jp/common/001135225.pdf
https://www.mlit.go.jp/common/001135226.pdf

基本的に国がこのような方針であるとすれば、現時点での15:00~19:00の飛行時間帯の制限はいずれ外され、経済上の理由に因って24時間空港のメリットの最大化が図られることが容易に想定されるものであると考えられます。

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